テスカトリポカ アステカ神話の主要な神の1柱である。神々の中で最も大きな力を持つとされ、キリスト教の宣教師たちによって悪魔とされた。Tezcatlipocaは、ナワトル語でtezcatl(鏡)、poca(煙る)という言葉から成り、従ってその名は「煙を吐く鏡」を意味する。鏡とは、メソアメリカ一帯で儀式に使用された黒曜石の鏡のことを示す。
容姿 通常テスカトリポカは、身体は黒く、顔に黒と黄色の縞模様を塗った姿として描かれ、しばしば右足が黒曜石の鏡か蛇に置き換わった姿で表現される。これはアステカの創世神話において大地の怪物と戦い、右足を失ったことを表している。時として胸の上に鏡が置かれ、鏡から煙が生じている様子で描かれる場合もある。テスカトリポカのナワルはジャガーであり、神性のジャガー的な側面がTepeyollotl(テペヨロトル、山の心臓)という神とされる。アステカの祭祀暦であるトナルポワリ暦でテスカトリポカはトレセーナ「1のオセロトル(ジャガー)」を司り、またアカトル(葦)の日の支配者である。
テスカトリポカの姿はオルメカ人やマヤ人に信仰された初期のメソアメリカの神々を思い起こさせる。いくつかの類似点が、ポポル・ヴフに書かれたキチェーマヤの神に存在する。ポポル・ブフの中心的な神は、Tohilという黒曜石を意味する名であり、生贄を要求する神であった。また、古典期マヤの統治と雷の神である「神K」は、煙を出す黒曜石のナイフを額につけ、片足が蛇に置き換わった姿で描かれている。
忌み名 その神性は、夜の空、夜の翼、北の方角、大地、黒曜石、敵意、不和、支配、予言、誘惑、魔術、美、戦争や争いといった幅広い概念と関連付けられている。この神の持つ多くの忌み名は神性の異なる側面を示している。Moyocoyani(モヨコヤニ、全能者)、Titlacauan (ティトラカワン、我らは彼の奴隷),、Ipalnemoani (イパルネモアニ、我らを生かしている者)、Necoc Yaotl (ネコク・ヤオトル、両方の敵)、 Tloque Nahuaque (トロケ・ナワケ、近くにいる者傍らにいる者の王) 、 Yohualli Eecatl (ヨワリ・エエカトル、夜の風)、Ome acatl(オメ・アカトル、2の葦)、Ilhuicahua Tlalticpaque (イルイカワ・トラルティクパケ、天と地の所有者)、Nahualpilli(ナワルピリ、高貴な魔術師)などがそれら忌み名である。
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